習慣について
ある高校二年生に数学を教えています。わからないことはわからないと素直に言ってくれる子なのですが、ある問題の解答を全体的流れとして理解し、その解答のどこが本質的な着眼点なのかを指摘することができるだけで、もう満足してしまうきらいがあります。
だから同種の問題を解かせても、解答の方針はわかるのに必ず計算ミスをする。解き慣れていないからです。集中力だけが先走りして、注意力・判断力がまったく働いていない。言い換えると、木を見ることはできるが森を見ることができない。
計算を進めるにあたって、各段階で自分のそれまでの計算が正しいのかを冷静に判断する必要があります。そしてここまでは正しいのに得られる結果がなにかおかしい、というときは、そもそも前提としている部分が誤っている可能性を考慮する必要がでてきます。そして場合によってはゼロから建て直す判断をしなければならないかもしれません。
習慣という言葉がありますが、これは理解するだけで身につくものではありません。それに慣れないことには、理路整然とした、表現力のある解答は作れない。入試でも自分の思考力を解答として示さなければならないのだから、これは実際問題として重要です。
だから一度解答を作成し終わったら、生徒自身の言葉でその解答を説明させます。そうすると間違いのある部分が自然と浮き彫りになって、生徒自身の自覚とともにミスを修正することができ、次回からより注意力・判断力をもって臨むことができるようになります。