着想メトロ

アイデアとは、世界の捉え方を再構成することで新たな価値を獲得し、さらにそれを経験によって持続させる、一連のプロセスのこと。

計算

 研究活動をしておられる方は、普段から関連の論文や専門誌、学術書などを読まれると思います。

 そのとき、特に自然科学において研究に従事している方々については、自分の研究に直接影響を与えるような重要性の高い事柄について、参考文献の計算結果を自分で再現し、内容についての吟味をする機会も少なくないでしょう。

 なぜそのようなことをするかというと、論文や学術書には紙面の都合上、また筆者らの主張や論旨をなるべく明確にするよう、途中の詳細な導出過程や思考過程は省かれることが多いからです。そこで読み手に行間を埋める作業が必要になります。

 特にそれが紙と鉛筆でなされる場合について、この記事で僕の実践している方法をお伝えします。これは計算のみではなく、文献の要所要所に考察を加えていく、といった作業にも応用可能です。要約すると以下のようになります:

  1. 上下に開くタイプの枚数が多い計算用ノートを用意
  2. 裏表を使わずまず表ページだけを使って最後まで進む
  3. ノートを裏返して逆に使う
  4. 個別の計算にはその日の日付をページの上端に記す
  5. ボールペンではなく鉛筆で、計算過程が追いやすいように

 まず左右ではなく上下に開くタイプの計算用紙を用意します。紙は薄いタイプで、なるべく多くの枚数が綴じられているノートであるとなお良いです。なぜ上下に開くタイプを使っているかというと、前のページにある計算結果を次のページに進んだあとも参照しやすいからです。

 また紙の裏表を始めからどちらも使うということはしません。まずは表だけを使って最後のページまで進んでしまいます。裏表をどちらも使うと、毎回ページが移る度に余白ページの位置が入れ換わるので煩わしいからです。

 個々の計算に対して、それを実行した日付を計算を開始したページの上端に記載すると良いです。これによって計算の進展を時系列に沿って見返すことができるようになります。

 さらに書く媒体に関して。以前はボールペンを使用していたのですが(消しカスを出すのが嫌だったのが理由です)、現在は簡素なシャープペン(monograph)を利用しています。やはり計算をしているとトンチンカンなミスをすることが多々あり、それらを紙上に残しておくと、計算の見通しを悪くしてしまうばかりか、後で見返すときにも計算を追いにくいのです。上から下へ、見通しのよい計算を展開することが肝要です。細かな計算は左右の余白にちょちょっとしておくのです。またこのような計算は消さずに残しておきます。こうしておくことで計算が連続的になるからです。

 

 研究自体に関する計算もまったく同じ方法を適用することができます。目的別にノートを替えてもいいかもしれません。僕はすべての計算・考察を同一のノートに記しています。だからノートが変わればそれは前のノートを使いきったということであり、それだけの計算、考察をしたことを意味します。

 主たる目的というのは人生の各段階において複数あるものだとは思いません。異なる目的に見えてもそれらは互いに関連しており、共通の何かで結びついている。そのときの興味・関心に貫かれていると思います。ですので同一のノートにまとめることは、それはそれでいいと思います。というのもこうすることで自分の研究活動全体の進捗を俯瞰することが容易にできるからです。

 

 本筋からそれますので最後に簡単につけ足しておきますと、ある特定の問題を解く、あるいは議論しようとしているときは、ホワイトボードを使うことをおすすめします。面積が広いので大量の計算を見通すことができ、もういらない部分は消して新たなスペースを確保できる。使い勝手が非常にいいのです。もう計算できない、というところに来たらスマートフォンで写真をとって保存しておけば、あとで簡単に見返せます。

 また下を向くのではなく前を向いて立って計算するのも、いい影響があるのではないかと最近思い始めています。思考が固定されないような感覚があります。自宅にも一台置いておきたいくらいです。テーブルやガラス張りの壁に直接計算できるようなカフェがあればいいのに、と常日頃思います。

長文読解(2)

 

 次に読解に関するアドバイスを挙げていきたいと思います。読解は(ときには不完全な)パズルのピースを埋めていく作業にたとえることができ、基本的に情報収集戦です。

二つのモードを使い分ける

 読解中は、二つの読み方を意識的に使い分ける必要があります。ひとつは精読、もうひとつは速読です。本文すべてを精読、あるいは速読するのではなく、注意がより必要な箇所、例えば設問に関係のある文や下線部訳をするときなどは、その部分を精読し、設問にあまり関係のない部分、もしくは本格的に読み始める前の情報収集をする段階では、速読、つまりキーワードを拾いつなげていく読み方をするのです。

 この二つのモードをバランスよく使い分けられるようになれば、読解にメリハリがでてきます。よく学生に注意することなのですが、ただ漫然と問題意識もなく読み進めるのなら、それが精読であれ速読であれ、読解は上手くなりません。しっかり見るべきところと、そうでないところを区別するという意識をもつことが大切です。当然、その区別は設問を基準になされます。繰り返しになりまずが、読解とは筆者の主張を理解することではなく、設問に答えるのに必要な情報を収集する戦いなのです。

外堀を埋める

 読解が始まると同時に本文に齧りつくのではなく、本文に関連する情報をまずは外部から収集しましょう。城攻めにたとえるのなら、外堀を埋めることなく突っ込めば敵の格好の的になってしまうということです。まずは周辺から攻略をしていきます。

 タイトルやサブタイトルのある文章(たとえばサイエンスなどの科学雑誌からの出典など)は、そこに注目するだけである程度本文全体、または各パラグラフの扱っている内容に見当がつきます。また出典や脚注にある語彙を参考にすることでも、内容に関する情報が得られます。こうして背景をある程度捉えることで、本文の読解を容易にする準備を整えます。

 また設問にも注目しましょう。内容一致問題の選択肢には、それが合っていても間違えていても、内容の部分的要約になっていることが多いです。ここからでも本文の中身がある程度推察されるでしょう。さらに、このような選択肢は本文の内容を言い換えていることがあり、本文中でたとえわからない表現が出てきても、設問を見ればわかることがあります。

 ただしこれらの情報収集によって得られるヒントは、あくまで本文の内容の大枠を決めるに過ぎず、設問を解くのに必要な詳細には及びません。漠然としたイメージさえ持てれば満足と考えて、あまり時間をかけ過ぎることのないよう注意しましょう。

最初の数文はしっかり読む

 いよいよ本文にアタックするわけですが、まずは最初の数文にしっかり目を通してみましょう。ここは通常イントロダクションのある場所で、本文が何を主題とするか、何を問題とするかが書いてあることが多いのです。また小説風の英文でしたら場面設定などが書かれてあることが多く、いずれにしても内容への導入として見逃すことのできない箇所です。

 さて、ここから先が、大きく読み方の分岐する場所になります。

空欄補充がメインの長文読解

 本文中に空欄があり、そこに適当な一語を補完するという問題がメインである長文は少なくありません。この場合、空欄のごくごく近辺で問題が片付く場合が多く、始めから正直に本文を読み進めていくより効率的である場合があります。

 空欄を含む一文を精読します。文脈をしっかり把握してきていない以上、そこには意味の不明瞭な単語や表現が少なからずあるでしょう。それに惑わされず、冷静に解答に必要十分な情報がそこにあるかを判断します。もしある単語の意味がわからず、しかもその部分が解答に必要であるときは、前の文または直後の文にまで探索の手を拡げ、穴になっている情報を埋めることを目指します。

 必要な情報が近くから見つからない場合、不注意により見逃してしまっているか、もしくは離れた場所に実は情報が潜んでいるか、のどちらかです。いずれにしてもそのようなときはその空欄は一旦置いておき、他をあたりましょう。その過程でヒントが得られることもあるからです。

 このような読み方をすると、常に何か情報が欠けていて、本文の理解が不十分なまま読解を続けることになります。人によっては始めから読み進めていき、設問に当たるごとに解いていく、というスタイルが適していることもあります。時間的な猶予の多寡にもよるでしょう。このあたりは読解をしてみて、徐々に自分のスタイルを開発していくのがよいです。過去問の出題傾向が特殊であれば、それに合わせた読み方を練習してもよいでしょう。

記述式で、内容説明・内容一致問題が多い長文読解

 始めから本文を読み進め、問いにぶつかったらそこまでで得た情報を吟味し、解答に足りないピースがあればもう少し読み進める。このようにして読解していくのが正攻法でしょう。内容説明で字数制限のある設問でしたら、短く必要な要素をメモしておき、十分情報収集が済んだところで解答を書き起こすと良いでしょう。設問にちゃんと答えているかの確認を忘れないように。また内容一致問題であれば、選択肢の論点になる部分(本文との比較吟味が必要な部分)に注目し、本文を参照し回答していきましょう。このとき、もし選択肢がグレーだった場合、無理に選ぶことはせず、判断を先送りにできることも念頭に置いておきましょう。

 このように上から下へ直線的に読み進める場合、意味のわからない単語や文があってもあまりこだわり過ぎないようにしましょう。設問を確認したあと、どの部分が重要な情報になり得るかがわかっている状態(問題意識がある状態)で、初めて精読する必要のある箇所が出てくる(わかってくる)からです。

背景知識をおさえる

 ある長文は簡単に読めるのに、ある長文はまったく歯が立たない。このような経験をしたことのある方は多いと思います。これには背景知識の存在が原因となっていることが多いです。

 ある特定の分野で何が問題とされ、いま論点は何に移っているのか、むかしはどうだったか。その分野で使われる専門用語にはどのようなものがあり、その定義はなにか。これらの知識はいうまでもなく読解の大きな助けとなります。論旨がある程度予想できるからです。よって英語の知識のみならず、各分野に偏りのない興味・関心を持っている人は、長文読解に優れていることが多いことになります。このような目的を補助してくれる参考書として『リンガメタリカ』をおすすめしておきます。 

話題別英単語リンガメタリカ[改訂版]

話題別英単語リンガメタリカ[改訂版]

 

単語の指す意味内容は毎回異なる

 長文読解において、未知の単語に出会うことは避けられない事態です。前後の文脈からの類推ができることは長文読解に必須の要素ですが、既知の意味でその単語がその英文中で使われているわけでもない、ということも注意しておきます。意味内容を限定するのは文脈、あるいは筆者の使用法であり、単語そのものの持つ意味と関連を保ちながら、ある範囲で自由にその指し示す対象を変化させます。このことに留意し、知っている単語だからと油断しないようにしましょう。

長文読解(1)

 

 大学受験で必須となる科目のひとつに英語があります。受験生に重要な英語長文読解が上達するためのアドバイスをいくつか挙げ、記事にしたいと思います。

読解とは話の内容を理解することではない

 まず読解とはそもそもなんぞや、というところから始めます。読解というのは読んで字の如く、読み解くことです。いくつかの設問があり、それらに一定時間内に答えなければなりません。そのためのヒントは本文中に書いてあります。よってこれらのヒントを的確に探し当て、そこから正答を判断しなければなりません。

 注意する必要があるのは、必ずしも設問への答えがそのまま本文にあるというわけではないことです。確かにヒントは必ずあるものの、正答への確信が持てず、比較検討をし、消去法なども試みた上で、総合的に判断する必要もときにはあります。また単純な文法知識が勝敗を分けるときもあります。

 

 読解には必ず出題者がおり、理詰めで対処できるよう予め問のレベルが調整されています。言い換えれば、高校生の頭で理解できないことが、解答に必要になることはないということです。英文自体の内容が高度であることはままありますが、問のレベルはそれに比べて落ちるのが普通です。

 ここでよくある思い違いを指摘したいと思います。多くの生徒が、読解は話を理解しなければならないと思っていることです。

 例えば現代文で解く論説は理解できるでしょうか。もしそうであればその方は進んだ理解力を持っているのでしょう。高校生の頃の僕の場合は、小林秀雄の文章などさっぱりでした。言い方は変になりますが、こういう文章は解くからこそ解けるのであって、それは文章の理解と関係はしていても基本的には別物だと思います。英語でも話は同じです。

 もちろん、筆者の言っていることがわかるのは良いことであり、それを否定するのではありません。その人はその人自身の経験からわかるのでしょう。言っていることがわかることと、話の筋、論旨を追えるということは別物だという意味です。そして読解には後者だけで十分なのです。「筆者はこうこうこうした理由でこうだと言っている。なぜそれが理由になるのかも、どうしてその結論がでてきたかもさっぱり分からない。本文中に書いていないから」程度で十分通用するということです。

読解上達のための必須学習事項

 まず最低限の単語・熟語・文法の知識がなくては読める文章も読めません。二十単語の一文に未知の単語が五個以上出てくるようでは、読解は無理です。これらの予備知識がすでにあるとして話を進めます。なお以下では読解の後に焦点をあてます。読解中のテクニックについては次で扱います。

  1. 英文解釈。英文の構造をどのような意味に解釈できるかを学ぶことは必須です。これにより想像に頼らず、精確で忠実に英文の意味をとることができるからです。有名な形式主語・目的語構文に始まって、so that構文のいろいろなパターンや、(全・部分)否定表現、倒置、仮定法、同格、挿入、関係詞節、不定詞、分詞、分詞構文、さらにイディオムなど、特徴的な構造とそれをどう訳すかを系統的に学習する必要があります。これと同時にSVOCを振ることを覚え、ある文中で同じ役割を担う「意味のかたまり」を抜き出せるよう練習すると良いです。
  2. 精読。読解し終えた英文を、時間を気にせずしっかり読むことをぬかると、基礎的な英文理解力の不足で結局つまずきます。構造解析をした上での全訳。分からない単語や表現があるなら辞書を引き、もっとも文脈に沿ぐう意味を自ら選ぶ。ついでに新出の単語やイディオム、構文は意味と一緒に覚えてしまいましょう。これを参考書の解説だけで代用してしまうと、訳の導出というプロセスを経ないので実戦での解釈力に大きな差が出ます。可能ないくつかの選択肢からその場合に適するひとつを選べる判断力は、読解の後でも養えるのです。英文解釈もそうですが、可能ないくつかの選択肢を持っていて、その中から適するものを選び取る、という意識が大切です。
  3. 再読解。精読した文章についている設問をもう一度解きます。一度目の読解では気を配る余裕のなかった細部も、今では見えています。総合的に、あらゆる観点から設問を吟味し、最適解を導きましょう。

 基本的に以上の三点を長文を読むたびにしっかりこなせば、着実に英文理解力、問題考察力は向上します。こうして英文の理解力が高まってくると、読解のときもリアルタイムで同じことをしようとし、時間が足りなくなったり、詳細までわからず頓挫してしまう、ということがあります。あくまでこのようにして培った英語力・考察力は、読解中に読むべきところをしっかり読むため、考えるべきところでしっかり考えるためだということを忘れないように。

 またできれば全訳は先生などに添削してもらいましょう。ついでに解答の根拠や、本文の要旨、各パラグラフのまとめなどを議論するのもよいでしょう。すべて次の読解のときに活きてくるはずです。

DALF C1 試験報告(結果:合格)

 

フランス語能力の検定試験にはいくつかの種類がありますが、フランス語の運用能力をバランスよく正確に評価してくれるものとしてDELF-DALFがあります。以下の内容は仏語能力検定試験の受験を考えている方が対象です。

www.delfdalf.jp

試験は年二回(春季と秋季)実施されます。形式としては、まず取得したいレベル(A1, A2, B1, B2, C1, C2)と文系・理系の別を選択します。受験料はレベルC1の場合15000円と少し高めです。

個人は受験番号によって一括管理されており、一度でも受験するとそのときに指定される番号でその後の試験も管理されます。僕の場合は今年の受験が人生二回目で、前回はレベルB2を受験しました(結果は受からず)。

 

試験内容は聴解、読解、文書作成、口頭表現から成り、試験はこの順に実施されます(試験は複数日にわたります)。僕が今年の秋季に受けたのは、レベルC1の理系(sciences)で、試験には10人ほどが応募しており、僕の他はすべて文系(lettres et sciences humaines)の方でした。以下セッション毎に簡単な流れと、今年秋の試験内容を報告します。

 

聴解

最も難易度の高かった試験です。比較的長い音声を二度聴くセッションと、短めの音声をふたつ、それぞれ一度だけ聴くセッションの二つから成ります。今回の内容は、第一のセッションで『(自然災害の)予言と人間心理について』、第二のセッションでは『テレビに対する需要の変化』、『温暖化に影響を受けているある北方の土地』についての音源です。

聴きとれた内容をメモするのが鍵ですが、メモすることに神経を使い過ぎると、同時に流れている音声に対する集中力が不足してしまいます。このあたりはある程度の練習が必要になるかと思います。重要だと考えられるキーワードを大きくメモしておき、それらがどのようにして繋がるのかを、聴いた内容とともに補完していくのが効率的です。

困難な点は主にふたつあります。第一のセッションでは音源が長時間続くため、メモをとることに慣れていないと、全体的な理解に大きな支障があります。また問題数も多いため、聴解が始める前に設問を読んで、ある程度『どのような内容なのか』、『何が問われるのか』を把握しておく必要があります。

第二のセッションでは、一度しか音源を聴くことができません。設問を事前にどれだけ把握できるかが勝敗をわけます。また今回は、発話者の感情がよく現れていて、発話や展開が非常に速く、多くの語は正確にしっかり発音されていない状態でした。このように、外部の影響(ノイズ)を受けずに内容を理解できる力が必要になります。

読解

最もよくできた試験です。今回の内容は『書籍の在り方と、それに伴う読み方の変遷』でした。読んだ内容のうち、どの部分が重要になるのかを把握しながら読み進めるとよいです。また設問が特定のキーワードを含む場合(たとえば人名やある事件、ある特定の時期など)、本文中にそれに対応する部分をマークすると参照しやすいです。

文書作成

複数の資料から、そのsynthèse(まとめ)と個人の意見を述べるargumentation(主張)を作製することを要求される試験。今回の内容は『論文の盗作(plagiat)』についてでした。

まとめをする際は、まず注意深くプロットを練ることが大事です(例えば原因・結果・解決策という構図に従ってなど)。その次に資料に述べられていない個人的な意見を絶対に述べないことに注意することです。

個人的な意見を主張するargumentationにおいては、個人の経験を全面に押し出し、それを元にプロットを練るとよいでしょう。抽象的なことを述べた後には、必ず個人的経験を添えるようにすると、全体的に説得力がでてきます。

口頭表現

ひとつのテーマに関連する複数の資料を読んだ後で、内容に関する短いプレゼンをし、試験官からの質疑に応答するという流れ。今回のテーマは『化石燃料の代替となる次世代の持続可能なエネルギー』という内容でした。環境問題がテーマとなることは実際多いようなので、関連のテーマについて知識と自分の意見をまとめておくと効果的かもしれません。

口頭表現で大事なのは、読んだ内容の理解度を簡潔なプレゼンで表現しきること、試験官の質問によどみなく答えることです。とくに、沈黙する時間があまりに長過ぎると、フランス語運用能力に欠けていると判断される危険があるので、『場を繋ぐ』ということを意識することで成功に一歩近付くかと思います。

 

 

いずれの試験も、フランス語の運用能力を示すことが必要になります。自分の能力を、自分で知っているだけではだめで、それを試験官または解答用紙を通して、表現しなければなりません。どうしたら自分の能力がレベルに見合っていると納得させられるのか、この部分を一度考え直すのが、学習の方針を立てるのに有効です。

Français Authentique

 耳からのフランス語学習が合っているという方に特におすすめのサイトがこちら:Accueil • Français Authentique

対象者はフランス語学習者で、フランス語の理解力はある程度あるものの、表現力がなかなか伸びないという人向けです。

 FA(Français Authentique)創設者のJohan氏はYoutube上に、フランス語を耳から学習するための七つの規則をあげています:

www.youtube.com

彼の言っていることの大半が理解できれば、FAが求める理解力にはすでに達していると考えられます。そこでまずは上記のビデオを視聴してみて、自分のレベルに合っているかどうかを確認してみるといいです。また同時に、FAがどういう学習方針をすすめているのかを把握しておきましょう。

 FAの最大の特徴は、生のフランス語、つまり教科書などに見られる不自然なフランス語ではなく、日常のあらゆるシーンで出会ってもおかしくないフランス語を、大量のポッドキャストによって視聴できるという点にあります。

 MP3形式のファイルをダウンロードすれば、いつでもどこでも、空いた時間を有効に活用して生のフランス語を聴くことが出来ます。さらに各音源にはそのトランスクリプション(音声を文字に書き起こしたもの)がpdfファイルとして添付されており、音で拾えない単語や表現をいつでも確認できるようになっています。

 また特集枠も、フランス語特有の表現を、具体的なコンテクスト(その表現が使われる文脈、状況)を交えながら解説したり、視聴者のフランス語に関する質問に答えたり、フランス文化・歴史に触れたりと充実しており、学習に飽きがくるということがありません。内容の充実したフランス語を大量に確保できるというのは、学習者にとって心強いものです。学習自体が楽しくなるということほど、学習の助けになるものはないからです。