着想メトロ

アイデアとは、世界の捉え方を再構成することで新たな価値を獲得し、さらにそれを経験によって持続させる、一連のプロセスのこと。

DALF C1 試験報告(結果:合格)

 

フランス語能力の検定試験にはいくつかの種類がありますが、フランス語の運用能力をバランスよく正確に評価してくれるものとしてDELF-DALFがあります。以下の内容は仏語能力検定試験の受験を考えている方が対象です。

www.delfdalf.jp

試験は年二回(春季と秋季)実施されます。形式としては、まず取得したいレベル(A1, A2, B1, B2, C1, C2)と文系・理系の別を選択します。受験料はレベルC1の場合15000円と少し高めです。

個人は受験番号によって一括管理されており、一度でも受験するとそのときに指定される番号でその後の試験も管理されます。僕の場合は今年の受験が人生二回目で、前回はレベルB2を受験しました(結果は受からず)。

 

試験内容は聴解、読解、文書作成、口頭表現から成り、試験はこの順に実施されます(試験は複数日にわたります)。僕が今年の秋季に受けたのは、レベルC1の理系(sciences)で、試験には10人ほどが応募しており、僕の他はすべて文系(lettres et sciences humaines)の方でした。以下セッション毎に簡単な流れと、今年秋の試験内容を報告します。

 

聴解

最も難易度の高かった試験です。比較的長い音声を二度聴くセッションと、短めの音声をふたつ、それぞれ一度だけ聴くセッションの二つから成ります。今回の内容は、第一のセッションで『(自然災害の)予言と人間心理について』、第二のセッションでは『テレビに対する需要の変化』、『温暖化に影響を受けているある北方の土地』についての音源です。

聴きとれた内容をメモするのが鍵ですが、メモすることに神経を使い過ぎると、同時に流れている音声に対する集中力が不足してしまいます。このあたりはある程度の練習が必要になるかと思います。重要だと考えられるキーワードを大きくメモしておき、それらがどのようにして繋がるのかを、聴いた内容とともに補完していくのが効率的です。

困難な点は主にふたつあります。第一のセッションでは音源が長時間続くため、メモをとることに慣れていないと、全体的な理解に大きな支障があります。また問題数も多いため、聴解が始める前に設問を読んで、ある程度『どのような内容なのか』、『何が問われるのか』を把握しておく必要があります。

第二のセッションでは、一度しか音源を聴くことができません。設問を事前にどれだけ把握できるかが勝敗をわけます。また今回は、発話者の感情がよく現れていて、発話や展開が非常に速く、多くの語は正確にしっかり発音されていない状態でした。このように、外部の影響(ノイズ)を受けずに内容を理解できる力が必要になります。

読解

最もよくできた試験です。今回の内容は『書籍の在り方と、それに伴う読み方の変遷』でした。読んだ内容のうち、どの部分が重要になるのかを把握しながら読み進めるとよいです。また設問が特定のキーワードを含む場合(たとえば人名やある事件、ある特定の時期など)、本文中にそれに対応する部分をマークすると参照しやすいです。

文書作成

複数の資料から、そのsynthèse(まとめ)と個人の意見を述べるargumentation(主張)を作製することを要求される試験。今回の内容は『論文の盗作(plagiat)』についてでした。

まとめをする際は、まず注意深くプロットを練ることが大事です(例えば原因・結果・解決策という構図に従ってなど)。その次に資料に述べられていない個人的な意見を絶対に述べないことに注意することです。

個人的な意見を主張するargumentationにおいては、個人の経験を全面に押し出し、それを元にプロットを練るとよいでしょう。抽象的なことを述べた後には、必ず個人的経験を添えるようにすると、全体的に説得力がでてきます。

口頭表現

ひとつのテーマに関連する複数の資料を読んだ後で、内容に関する短いプレゼンをし、試験官からの質疑に応答するという流れ。今回のテーマは『化石燃料の代替となる次世代の持続可能なエネルギー』という内容でした。環境問題がテーマとなることは実際多いようなので、関連のテーマについて知識と自分の意見をまとめておくと効果的かもしれません。

口頭表現で大事なのは、読んだ内容の理解度を簡潔なプレゼンで表現しきること、試験官の質問によどみなく答えることです。とくに、沈黙する時間があまりに長過ぎると、フランス語運用能力に欠けていると判断される危険があるので、『場を繋ぐ』ということを意識することで成功に一歩近付くかと思います。

 

 

いずれの試験も、フランス語の運用能力を示すことが必要になります。自分の能力を、自分で知っているだけではだめで、それを試験官または解答用紙を通して、表現しなければなりません。どうしたら自分の能力がレベルに見合っていると納得させられるのか、この部分を一度考え直すのが、学習の方針を立てるのに有効です。