着想メトロ

アイデアとは、世界の捉え方を再構成することで新たな価値を獲得し、さらにそれを経験によって持続させる、一連のプロセスのこと。

フランス語学習者へ

 

 大学初年次において第二外国語としてフランス語を選んだ方や、生涯学習としてフランス語と付き合っている方が対象です。フランス語の学習に際していつもそばに置いておきたい書籍やツールを紹介します。学習の一助となれば幸いです。

 

 電子辞書は購入するべきです。これで単語調べに費やす時間が大幅に減り、節約できた時間をもっとエネルギーを使うべきところに割くことができるようになります。

 僕が使っているのは、EX-wordに外国語としてフランス語が入っているものです。仏和・和仏辞典はもちろん、仏仏辞典(PETIT ROBERT)が参照できるのは便利です。仏仏辞典は、日本語訳を見ても使いどころがどうもよく分からない単語の意味・用例を調べるのに利用できます。

 また仏英・英仏辞典も収録されています。英語で知っている便利な表現をフランス語で何と言えばいいのか分からないときに使えます。その逆も然りです。

 フランス語で書かれた文章を読むときは、当然未知の単語に出会います。それらすべてをいちいち調べているようでは、時間もかかり過ぎますしやる気も続きません。調べる単語に優先度をつけるといいです。たとえば名詞を優先する、などです。意味がある程度予測できる、または、意味はわからないけれども読解には本質的に関わらない部分は、優先順位を下げるなどして、なるべく理解の妨げの根幹となっている単語に焦点を合わることが肝要です。

 

 ラジオ放送は定期的に流されるので、学習リズムを作るのにうってつけです。また、耳からの理解を強くするのにも効果的でしょう。ここではまいにちフランス語をおすすめしたいと思います。中級以上の学習者であっても、木・金曜日の「応用編」は、学習の仕方次第で非常に役に立つツールになります。

 NHKの該当サイトで利用者アカウントを登録すれば、前一週間分の放送のストリーミングを無料で視聴することができます。時間に余裕がないという方は、週末にまとめて聴くという方法もあるかと思います。とくに一回の放送が15分と短くまとまっているので、空いた時間にこまめに視聴しやすいというのも大きな利点です。

 各回には、その回の学習テーマとなる短い会話が収録されています。この会話はネイティヴによってゆっくり丁寧に発音されるので、これをシャドーイングし、さらにディクテーションすると有効です。

 またTuneIn Radio Proというアプリケーションをインストールすると、各国のラジオ放送(もちろんフランス語圏のものも)を視聴できます。また録音もでき、アラームを設定することもできます(朝早い放送を逃さないために使えます)。フランス語学習にとどまらず、たとえばフランス語圏で旬の楽曲・グループを知りたい人は音楽番組の視聴などもおすすめできます。時事問題に興味がある方はニュース番組を視聴することもできます。使い方は人によって千差万別です。

 

 書籍の紹介に移ります。フランス語学習者向けの参考書は、それこそ数限りなくありますが、その中でもとくに個人的に有用だと感じたものを列挙していきます。

  1. 携帯版 フランス語会話とっさのひとこと辞典』 日常で実際に多用される会話表現を、シチュエーションに応じてまとめて収録したもの。
  2. 21世紀フランス語表現辞典』 長年日本人のフランス語教育に携わったフランス人の筆者が、よく使い間違いを起こしやすいフランス語表現を辞典としてまとめたもの。表現の型がもっとも一般的なかたちで挙げられており、その使用例も表現の幅が広く、豊かな語彙力・語い力養成にも使えます。
  3. 新・リュミエール フランス文法参考書』 初学者にもわかるよう丁寧に初歩的文法を解説したもの。各課には問題もついています。
  4. 現代フランス広文典』 進んだ文法の参考書。品詞別に細かい文法項目が解説してあり、用例も豊富で、日本語訳もよく練られています。全体を通して、単語同士の繋がりに重きをおいています。
  5. 時事フランス語』 時事報道に特有の語彙や表現を効率良く学べる参考書。テーマ別に分かれていて、各テーマで扱われる例文は比較的短く、学習しやすい構成になっています。
  6. 現代仏作文のテクニック』 フランス語に訳しにくい日本語にどのように対処するかが、具体的な例文とともに解説してあります。翻訳の訓練を積みたい方に有用かと思われます。
  7. フランス基本熟語集』 ひとまとまりで意味の一単位を成すと思われる表現・成句をまとめた一冊。出現頻度のとくに高いものが掲載されており、例文もついています。また、どのような経緯でそういう意味になったのかに対する解説も親切です。

 

 ここに挙げたものは個人的な判断基準で集めたものばかりです。あくまで参考にとどめていただき、その先は各人の興味・趣向に合った学習方法の確立を目指していただきたいです。

 語学学習はいつでも、単なる語学にとどまることがなく、その文化圏にまで入っていくからこそ面白いものです。自分の価値観が揺るがされる、そんな体験のきっかけをつくってくれる語学学習の醍醐味をお忘れなきよう。