着想メトロ

アイデアとは、世界の捉え方を再構成することで新たな価値を獲得し、さらにそれを経験によって持続させる、一連のプロセスのこと。

数理・物理

計算

研究活動をしておられる方は、普段から関連の論文や専門誌、学術書などを読まれると思います。 そのとき、特に自然科学において研究に従事している方々については、自分の研究に直接影響を与えるような重要性の高い事柄について、参考文献の計算結果を自分で…

習慣について

ある高校二年生に数学を教えています。わからないことはわからないと素直に言ってくれる子なのですが、ある問題の解答を全体的流れとして理解し、その解答のどこが本質的な着眼点なのかを指摘することができるだけで、もう満足してしまうきらいがあります。 …

最小作用の原理(10)――平面上の相流

☞直線上の相流 直線上のベクトル場によって定まる微分方程式をどう解くかを学んだところで、今度はそれが相流という言葉を使ってどのように翻訳されるかをみてみる。 特に簡単な例\[ (1) \;\;\; \dot{x}=kx, \;\;\; x \in {\bf R} \]から始めよう。初期条件\…

最小作用の原理(9)――Ordinary Differential Equations(Arnold)

アーノルドの『常微分方程式』を読み解いていく。

言葉は思考する(十二)――耐性バクテリアの城壁を突き崩す

バクテリア自身ではなく、その保護膜の形成を阻止することで、バクテリアが耐性を獲得するのを未然に防ぐことが可能になるかもしれない。

最小作用の原理(8)

第八回目にしてファインマンによる最小作用の原理の特別講義を終える。ここでは最小原理から静電ポテンシャルの満たす方程式が導けることを示し、次に最小原理を利用した、ポテンシャルの近似解を求める方法について学ぶ。最後にファインマンが彼の生徒にの…

最小作用の原理(7)――大域的物理法則と局所的物理法則

最小作用の原理と量子力学との接点とは? 物質はミクロな世界でどうふるまうのか? 根源的な疑問に、ファインマンの鋭い洞察力が応える。

最小作用の原理(6)――相対論的運動方程式への拡張

電磁場中を運動する一粒子の運動方程式を、最小作用の原理から導出する。そして最後にラグアンジアンを導入する。次回からはいよいよ、ファインマンの才能が如実に現れる分析に入る。

保存系ではエネルギーが保存する

保存系が全エネルギーを保存することの証明を、一、二次元の場合に与える。また保存力がする仕事が経路によらないこと、その逆に経路によらない仕事をする力は保存力であることを示す。

アフィン空間とアフィン写像

アフィン空間・アフィン変換という概念についてのまとめと直観的説明。常識的により「自然」な概念が、必ずしも数学的に把握するのに易しくはない好例となっている。

最小作用の原理(5)――多次元への一般化

最小作用の原理は高次元、また多粒子系にも容易に一般化できる。ただしこのとき系は保存する(つまり力がポテンシャルから得られる系)だと仮定している。

ゴールデンナンバー

この世界に遍在する黄金数。その謎に多角的アプローチを試みる。

言葉は思考する(十)――機械は人たり得るか

ついに人工知能が誕生した。コンピュータプログラム「ユージーン」は、人とテキストで会話し、自分を人間だと思わせることに成功した。

言葉は思考する(九)――記憶を消去し、再び蘇生する

記憶をコントロールすることはできるのか。いまだ人体への応用には至らないものの、ラットによってそれを成功させた研究結果。悪用を懸念せざるを得ないほどの革新的発見。

パターン認識能力は数学の基盤――ものをカテゴリー化する『集合』という概念

集合論の創始者カントールが向き合ったもの。我々を無限の深淵へと誘う、「集合」という革新的アイデア。

言葉は思考する(七)――光を物質に変える

Huffpostから、光を物質(電子と反電子)に変える方法が発見されたという記事である:Transformer de la lumière en matière sera bientôt possible, assurent des scientifiques britanniques また論文はこちら: http://www.nature.com/nphoton/journal/va…

最小作用の原理(4)――部分積分で道を開く

部分積分をつかって評価しやすい形に変形。保存系に関しては最小作用の原理がニュートン方程式と同値だということがわかる!

最小作用の原理(3)――ずれに応じる変化を見る

pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com この数学分野には様々な問題があって、たとえば、普通…

最小作用の原理(2)――変分という視点

pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com 実際の運動はある曲線――時間を横軸にとって高さ\( \; …

最小作用の原理(1)――多くの天才を魅了する自然の巧妙さ

pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com pen3e.hatenablog.com 高校生のころの自分にとって、物理はとても難しい科目…

未来から唯一の過去を手繰り寄せる

基礎準備。 最初に「逆写像」という概念を説明する。簡単のため一次元を例にとろう。なお、動機づけとなった以下の記事も参照のこと:離散写像の性質をつかむ - pen3e's blog いまここに変数\( \; x \; \)から新たに\( \; y \; \)をつくりだす規則\( \; f \;…

離散写像の性質をつかむ

Edward Ottの「Chaos in Dynamical Systems (Second Edition)」はカオスの標準的教科書だが、日本語訳がなく、章末問題にも解答がついていない。良書であることに間違いはないものの、全体的に難解、マニアックである。ここでは第一章「序論と概観」の章末問…

有界領域\( \; D \; \)における重積分の、積分順序交換可能性について

いまここに有界領域\( \; D \; \)で連続な関数\( \; f(x, \; y) \; \)があるとする。 まずこの領域\( \; D \; \)をある有界閉区間\( \; I=[a_{1}, \; b_{1}]\times[a_{2}, \; b_{2}] \; \)で完全に覆う。つぎに、\( \; I \; \)上で関数\( \; \bar{f} \; \)を…

\( L^{p} \; \)空間がBanach空間であることの証明

まずは次の補題を証明する。 補題a. ノルム空間\( \; X \; \)が完備であるための必要十分条件は、\( \; X \; \)の点列\( \; \{ u_{n} \} \; \)で\( \; \sum_{n=1}^{\infty} \; \|u_{n+1}-u_{n}\|<\infty \; \)を満たすものはすべて\( \; X \; \)で収束するこ…

関数列の一様収束性と無限級数への応用

定義。区間\( \; I \subset \mathbb{R} \; \)上で定義された連続関数の列\( \; \{ f_{n}(x) \} \; \)が\( \; I \; \)上で\( \; f(x) \; \)に一様収束するとは\[(*) \;\;\; \forall \; \varepsilon>0, \;\;\; \exists \; n', \;\;\; \forall \; x \in I, \;\;…

等式での評価と不等式での評価、発火する人類の叡智

等式とひとくちに言ってもいろいろな意味がある。「定義」そのものを指す場合、また「同値な変形」であったり、「方程式」(未知数に条件を課す式)、集合同士の等式、はたまた極限操作における「収束」の意味での等式であったり。各々の場合に、それがどうい…

射影定理とSchmidtの直交化、そして無限次元Hilbert空間における完全正規直交系の存在定理

射影定理とは、Hilbert空間\( \; \mathcal{H} \; \)の閉部分空間\( \; \mathcal{M} \; \)があるときに、任意の\( \; u \in \mathcal{H} \; \)を、\( \; \mathcal{M} \; \)に属する成分\( \; u_{1} \; \)と、それに直交する成分\( \; u_{2} \; \)に分解するこ…

有限次元ノルム空間の完備性

有限次元ノルム空間\( \; X \; \)の次元を\( \; n \; \)とし、基底の一つ\( \; \{ \phi_{j} \}_{j=1,2,\ldots,n} \; \)をとると、任意の\( \; u \in X \; \)は\[ u=\sum_{j=1}^{n} \; \alpha_{j} \phi_{j}, \;\;\; \alpha_{j}\in \mathbb{C} \] というふうに…

「極限」の概念を得たのは数学からではなく、幼少時の木登りからだった。

諸事情により(検索機能のせい)上限supと下限infをそれぞれsp, ifと書く。 まず\( \; \mu^{*} \; \)の構成法から振り返る。\( \; \mathbb{R}^{n} \; \)上の「区間」\[ I=(a_{1},\; b_{1}]\times\ldots\times (a_{n}, \; b_{n}] \] の全体を\( \; \mathcal{I}_…

ミンコフスキの不等式

\( \Omega \; \)を\( \; \mathbb{R}^{n} \; \)の可測集合とし、\( \; \mu (\Omega) >0 \; \)であるとする。 また\( \; \Omega \; \)上の可測関数\( \; u \; \)で\[ \|u\|=\|u\|_{L^{p}}=\left ( \int_{\Omega} \; |u(x)|^{p}dx \right )^{1/p}<\infty \] を…